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皆様
御無沙汰をしております。 宮廷料理フェアーを始めて2週間が過ぎ、メモの更新が遅れた事を深くお詫び致します。 今回の宮廷料理は、1800年代の宮廷料理を御用意致しました。実際に文献を見ながら、 当時の宮廷文化での料理形態を考慮し、再現致しました。 文献を見ていても80%近くフランス宮廷料理文化が浸透しており、 オーストリア宮廷の特色が見られないのが実際の話なのです。 しかし当時の料理史の道筋を辿ると、ウィーンの宮廷料理人が創作した物も多く、 皇帝や貴族の好む料理が顔を覗かせてきます。今回の宮廷料理では、 前回も同様にフランツヨーゼフ皇帝やエリザベート皇妃が好んだ料理、 また実際に宮中晩餐会で出された料理をメニューで構成致しました。 現代のオーストリア料理の形態からしても肉料理が割合的には多く、 魚料理(特に海産物を使った料理)が少ないものですが、 今回の宮廷料理では鱸を使った料理をメニューに入れました。 現オーストリアでもアドリア海から鱸が届き、料理人が腕を振るっていますが、 日本の鱸に比べ身は柔らかく小ぶりで、味は日本の鱸の方がミネラルを感じさせるような気がします。 当時は鮮度状態も余りよくはない事が伺え知れますが、 現宮廷料理での魚料理も是非とも堪能していただければ幸いに思います。 話は変わりますが、三田にあるコート・ドールの斉須シェフのお料理を従業員と共に戴きに行きました。 僕が料理人として尊敬するシェフで、お料理を食べた後にシェフが色々とお話しをして下さり、 「料理人とは」という斉須シェフの姿勢が心の奥まで響き渡り、改めて料理の難しさと言う物を考えました。 シェフの料理を食べると僕自身の料理に対する五感、いや六感までもがリセットされ、 いつも勉強になっております。厨房を見せてもらっても、表現としては失礼に当たるかも知れませんが、 まるで病院の手術室のようにいつも完璧に清潔感が保たれていて、 厨房特有の香りさえ感じない厨房でとにかく凄いです。 僕のキッチンにはコート・ドールの厨房の写真が飾ってあり、 いつも従業員と見ながら「こうしような!こうあるべきだよ!!」 と僕を含め皆で言いながら掃除に励んでいます。 こういうところから料理に対する想いも生まれてくると思います。 料理書を見て作る、食べ歩きをして料理の知識や味覚を膨らませる、 こういうことも大切かと思いますが、一番底辺にある料理人という職人の基本理念は、 料理を作り上げる為の全ての無機質な物にいかに愛情を注げるか・・・と言う事にあるかと思います。 まだまだ暑い日が続くと思いますが、皆様、お身体御自愛下さいませ。 9月9日からは秋のメニューに変更しようと思っております。 それでは・・・。
神田真吾
2009年8月19日 シェフズルームにて
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